【インタビュー】2nd single 『セミ』/カノエラナ

今春リリースした1stシングルに収録の「猫の逆襲」を携えて来熊したのは、唐津出身のシンガーソングライター・カノエラナ。

物思いに耽るような表情から一変、話し始めると周りの雰囲気を一気に明るくする屈託のない笑顔を見せる彼女。その周囲を魅了するクールさと笑顔のギャップは、彼女が生み出す曲たちにも表れているようだ。

今回、普段から喫茶店によく通っているという彼女を、「猫の逆襲」にちなみ、猫愛溢れる喫茶『茶論』(サロン)に招き、1stシングルや8月にリリースとなる2ndシングルについて話を伺った。

 

『シティ情報くまもと7月号』では文字数の都合上、残念ながら掲載できなかったインタビューの模様を『KUMAMACHI NAVI』ではすべてお届けします!

 

Profile / ‘95年佐賀県唐津市出身の女性シンガーソングライター。’15年より30秒弾き語り動画をSNS上に公開し、「30秒弾き語り動画の女王」と話題に。無類のアニメ好きでストック曲の中には、アニメをモチーフとした楽曲もある。そして翌年’16年「カノエ参上。」でメジャーデビューを果たした。今同世代を中心に支持を集める注目のアーティスト

 

「歌詞に煮詰まったとき喫茶店に入って、考える時間を取るようにしています。」

 

ー喫茶店はよく行かれますか?
カノエ:普段からよく行きますね。特に一人で行くことが多いです。チェーン店というよりは、そこにしか無い場所に行ったりします。
ーツアーで回っている最中にも?
カノエ:地方に行った際も、なるべく喫茶店に入りたいなと思います。
ーよく頼まれるメニューはありますか?
カノエ:ピザトーストかナポリタン、どちらかを頼みますね。喫茶店のナポリタンはもう、間違いないと思います!
ー喫茶店のナポリタンって、結構ボリュームがあるイメージですが…
カノエ:私、結構食べるので、そこは大丈夫です!
ーすごく華奢なので、勝手に少食なイメージがありました(笑)
カノエ:意外とがっつり食べます(笑)
ーカノエさんにとって、喫茶店はどういうイメージですか?
カノエ:私にとっては、すごく過ごしやすい場所です。色や照明も落ち着いた印象があって、良いなぁといつも思います。
ー地方を回っていて、「あ、ここ入ってみよう」と思う基準はありますか?
カノエ:お店のロゴが、ちょっとレトロなカタカナで書かれていたりすると、グッときますね。
ーライブ前にも、落ち着きたい時とかに行かれますか?
カノエ:ツアーで各地を回っている時や、歌詞に煮詰まったりして、散歩に出た時に喫茶店に入って、考える時間を取るようにしています。

 

 

ーでは、「猫の逆襲」が1st入ったシングルについて、まずお話をお伺いしたいと思います。表題の曲「ダンストゥダンス」ですが、この曲ができたキッカケの一つに、東京駅の八重洲口に辿り着けずにさまよった経験があったと。私自身も八重洲中央口や北口…とたくさんあって、迷った経験があったので、すごく共感しました。
カノエ:そうなんです。本当にややこしくて…私、方向音痴で、しかも人見知りなので、人にも聞けないんです。駅員さんも忙しそうで聞きにくいし、皆せかせか歩いていて、「この人は東京の人なのかな?」と見分けもつかないし…。
ーそれで泣きながら明太子おにぎりを食べて…
カノエ:そうなんです。「博多〜(泣)」って泣きながら。
ー恋しくなったんですね。
カノエ:本当は佐賀出身やけど…って(笑)。「明太子ばい!」って頬張りました。
ー今回は、そんな東京を舞台にした世界観で「ダンストゥダンス」を描かれたんでしょうか?
カノエ:もともと「東京」という曲はすでに発表していたのですが、その曲のリリースから数年過ごしてきて、自分の中の東京の見方がどう変わったのかというのを、色々繋げて考えてみました。色々と面白いことになっています。
ー歌詞の「本当の名前も知らない一夜のconnection」にもあるように、東京の希薄な人間関係を表しているように感じました。
カノエ:自分自身が田舎出身なので、隣の人を知らないということは無いし、「あの人、河原で寝とったらしいよ〜」とか(笑)そういったことが、2〜3日後には広まっているような所で育ちました。だから、近所付き合いのない東京がびっくりで。隣の人の顔も性別も何も知らないけれど、夜ガタガタする音だけは聞こえるとか、私も生活リズムが他の方々とは違うと思うので。そういうカオスな東京を、田舎娘の自分が見たらどうなるか、パズルみたいに組み合わせました。
ー地方出身ならではの見方で作られたんですね。また、すごくライブ映えしそうな曲ですね。実際、今回回られているツアーで披露されてみて、反響はいかがですか?
カノエ:私のことをずっと見てきてくださっている方々は、「カノエが好きなことを今できているんだな」という風に捉えてくださって、逆に最近知ってくださった方は、ライブに来てくださると、「ダンストゥダンス」だけじゃなく、すごく面白い曲もあるんだということを、さまざまな見方をしてもらえるような曲になったなと感じています。

 

 

ーこのシングルは、「ダンストゥダンス」と「猫の逆襲」という真逆の曲が一緒になっているところも、「あれ、この人どういうアーティストなんだろう?!」という興味に繋がりますよね。
カノエ:曲も違えば声も違うし、歌詞も違っていて。ミュージックビデオも真逆なイメージにして、混沌とした感じを表現したかったんです。
ー今のカノエさんだからこそできることですね。また「猫の逆襲」はミュージックビデオも含めて、可愛さ全開ですね。子どもから大人まで楽しめそうです。
カノエ:ありがとうございます。「猫の逆襲」のミュージックビデオを観て、ライブに遊びに来てくれた子も多く、インストアライブではちびっこ達が目の前にワラワラといて(笑)。ニャーニャーって身振り付きでやってくれていました。もちろん、大きいお友達もやってくれています(笑)。
ー「逆襲」というタイトルが、一見怖そうなイメージがあったのですが、猫好きには堪らない、可愛い逆襲でした。またこの曲ができたキッカケもユニークですよね。
カノエ:猫さんがいると、小さい頃からのクセで「何してるの〜?」とか、「日なたはどうですか?」って話しかけています。周りから「アイツ何やってるんだ?」って目では見られるんですけど(笑)もう気にせずに近づいていって、「ん?何?」って感じで猫に見られます。
ーちょっとツンデレな対応をされるんですね(笑)。
カノエ:結構高い確率で撫でさせてくれたり、優しい子ばかりですね。「猫の逆襲」を作るときも取材のような感じで、近所の野良猫さん達に話しかけに行っていました。「何やっているんですか?」とか、「ここにはどれくらい居るんですか?」とか。もちろん、返事はないんですけど(笑)。猫達にも、色々とコミュニティがあるんだろうなと感じました。
ーたしかに、実際に触れ合うと想像力が掻き立てられそうですね。
カノエ:そうなんです。この間まで居なかったのに、この猫どんどん居座ってきてる…とか、どこからか引っ越して来たのかな?とか、なんで引っ越して来たんだろう、縄張り争いに負けちゃったのかな?とか。それとも嫁いで来たのかな?なんて。人間関係ならぬ「にゃん間関係」を観察しています。
ーちょっとした地域猫博士ですね(笑)。実際に飼われたことはあるんですか?
カノエ:それが、猫は飼ったことは無く、生き物はお魚しか飼ったことがないんです。母が昔猫を飼っていたそうで、その話をずっと聞いていて。それで、猫派に自然と刷り込まれていったんだと思います。「自分を動物に例えると何?」って話になったときに、「カノエは猫とかヘビとか、目つき悪い系じゃない?」って言われ続けていました(笑)。そんなこともありつつ、昔から縁があって、いつかちゃんと曲にしたいなと思っていたので、こういう機会に恵まれて良かったです。
ー念願叶って、という部分もあったんですね。勝手なイメージですが、特に黒猫がお好きなんですか?
カノエ:はい!もう黒猫が居るとテンションが上がります(黒猫ジジのぬいぐるみを触りながら)。もうその辺にいる、自由気ままで「はぁ?」って対応をしてくれるような猫ちゃんが好きです。
ー人に飼いならされている子よりも…それこそ、今回の歌詞にもある「敬うべきなのにゃ」っていうくらいが良いんですね。
カノエ:そうなんです!「私の方が偉いのよ!」って感じでいてほしいですね。もちろん、近寄ってくる猫さんも好きです。
昔、実家の近くに居着いていた、勝手に名付けた「ごんざぶろう」って猫が居て…
ーなかなか渋い名前ですね(笑)
カノエ:通称「ごんざ」は、私が家に帰ると「ニャー!ニャー!」と寄って来て、座ると膝の上に乗ってくるくらい仲良しな子で、「猫さん、良いなぁ」といつも感じていました。
ーカノエさんご自身の、猫愛というか世界観がこの一曲に詰まっているんですね。
カノエ:どこかで保護できたら良いんですけどね。
ー飼いたい願望はお持ちなんですね。
カノエ:いつか運命的な出会いを果たせたら、飼いたいなと思っています。出会って、「どうしよう、どうにかしないといけない!」と思った時に保護したいですね。

 

 

ーそして8月には早くも2ndシングルがリリースされます。これまでの雰囲気とはまた一味違う、攻めたバンドサウンドが印象的でした。この2曲は、同時期に制作されたんでしょうか?
カノエ:これが、まったく別の時期に作った曲なんです。「セミ」という曲自体は、20歳過ぎくらいに書いた曲です。音楽活動をしている中で、モヤモヤすることがあったりして、それを等身大の自分で書けないかなと思った時にできた曲です。「(タイムカプセル)」の方は、割と最近できました。

 

ー「セミ」では、「足元に転がったセミ」と歌の主人公を重ねていますが、そういう部分も、当時20歳過ぎにご自身が感じていた、足掻いているような心情を表しているんですか?
カノエ:夏になると転がっているセミを見て、これは死んでいるのかな?と思ってなんとなく近付いたら、ジジジジっていきなり動き出して「おっ息をされていた!」って驚いたり(笑)。猫と同じく「セミは何を思ってこの木に止まったんだろう」とか考えたりします。セミの感情を勝手に想像して、自分の中に落とし込むというような、普段の作業の延長線から生まれました。
ーこれまでのお話を聞くと、結構お散歩されることが多いんですか?
カノエ:普段は外にはなかなか出ないんですけど、その分、外に出たときの刺激を多く受けています。小さなことでも、「わぁこれすごいな」、「これ面白いな」って感情が湧いてくるんです。
ーそれを曲作りに反映されているんですね。今回発表されるにあたって、20歳過ぎの頃の気持ちに、現在の気持ちも重ねて作ったりされたんでしょうか?
カノエ:実は最初作った時と、アレンジをまったく変えているんです。当初アップテンポ気味に作ったんですけど、ライブでは、自分の中での大事な節目で歌いたかったので、その少ない機会の中で成長してきた曲でした。今回は、等身大の今の自分だったらこう歌うなっていうのを、全部書き直してアレンジし直して発表しました。
ーずっと大事にされてきた曲だったんですね。間奏部分では、ギターソロがかなり歪みが効いていて、すごく格好良さも感じられます。特にここに注目してほしい、といった部分を教えてください。
カノエ:ギターの歪みは、セミがジジジっと鳴いているのを表しているんです。ドラムがガツンとくる所や、トリッキーな演奏箇所があったりするのも、セミが飛んでいるシーンや止まっている所を表現しています。そういう背景にも注目してほしいです。

 

ーまた2曲目の「(タイムカプセル)」もこだわりがたくさん詰まっていそうですね。
カノエ:この曲は、東京に母と妹が泊まりに来て、二人とも寝静まった夜に、何もすることが無くなって、暗闇の中で書いた曲なんです。爽やかさは無いのですが、色々と深読みできる曲になったなと思います。歌詞の中で埋めた物が何なのかは、聴き手にお任せする形を取りました。
ータイトルの「(タイムカプセル)」にカッコが付いているのは、どういう意味が込められているんですか?
カノエ:これは、カプセルの形に掛けているんです。
ーなるほど!こだわりが光っていますね!そしてこの曲もまた、イントロからギターが攻めたような感じで鳴り響きますね。
カノエ:「セミ」の方がまだ耳障りの良い感じの歪み具合なのですが、「ちょっと暴れてみようぜ」という想いから、完全にロックに引っ張ってみました。
ーこちらもまたライブで聴くのが楽しみな曲ですね。
カノエ:ドラムパターンもこだわっているので、ぜひたくさん聴いてほしいです!

 

ー少し無茶振りになるかもしれませんが…タイトルにちなんで、今タイムカプセルを埋めるとしたら、カノエさんは何を埋めますか?
カノエ:なんだろうな〜。…黒歴史を埋めたい(笑)。
ー忘れ去りたい過去を(笑)。
カノエ:そうですね。無駄に厨二感のあるノートとか埋めたい。中学生の頃から書いているノートなんですけど、“KEEP OUT”のシールを貼って封印して、ヒョイっと埋めたいです(笑)。
ーノートに書き溜めることが、ストレス発散にもなっていたんですかね。
カノエ:たぶん、なっていたんでしょうね。異世界に行きたいなとずっと思っていたので。そういう言葉をしたためていたんですけど、異世界にはなかなか行けずに今に至るので、さすがに埋めたいです(笑)。
ー異世界に行かれず、現世でお会いできて良かったです(笑)。

ーそれから4/18からは新曲「ヨクアルオハナシ」も配信開始となりました。
カノエ:これは企画から生まれた曲なのですが、色々な方からエピソードをいただいて、その中から曲に出来そうなお話を3通選んで出来た曲です。
ーほっこりするエピソードばかりですね。
カノエ:その時期はナイーブな曲ばかり書いていたから、さすがにリア充ソングがほしいなと(笑)。なので、ほかの曲と比べて、ずいぶん明るい曲になりました。
ー3番目の、ライブ離れした方からのエピソードもファンの方からの投稿なんですか?
カノエ:あれもほとんどそのまま使用させていただいているんです。「なんだあの娘は」って、自分で歌っていつも笑ってしまうんです。
ーすごく愛を感じる歌詞ですね。
カノエ:そうなんです、すごく面白くて。実は1番も2番のエピソードも、語尾を揃えるくらいで、ほとんどいじっていないんです。みんなこのメロディを知っていて、揃えてきてくれたんじゃないかと思うくらい変えていないんです。
ー皆さん作詞家レベルですね。
カノエ:本当に、センスのある方ばかりだなぁと驚きました。そのほかにいただいたエピソードもどれも面白くて、みんな闇が深いなと思いました(笑)。いつかは曲にしたいなと思います。
ー全部聴いてみたいです!それだけでもアルバムが出来そうですね。
カノエ:出来ると思います!「みんなの鬱憤」みたいなタイトルで(笑)。

ーもうすでに未発表曲のストックも溜まっているんじゃないですか?
カノエ:もう、めちゃくちゃ出来てます!
ーそれもSNSなどで少しずつ発信しつつ…
カノエ:実は、Twitterのヘッダー部分を、密かに歌詞に変えたりしているんです。「これ何だろう?」と思われたら、それはだいたい新曲の歌詞です。誰にも言っていないんですけど(笑)。注目していただきたいポイントですね。
ーそこを定期的にチェックしたら、ほかの人に自慢できますね。ファンには堪らない!
また今後も、熊本でもカノエさんにお会いできることを楽しみにしています!
カノエ:熊本はめっちゃ好きなので、また必ず来ます!

(シティ情報Kumamoto 2019年6月号本誌掲載)

 

九品寺で40年以上愛され続けた喫茶『茶論』が、今春装いを新たに移転オープン。23才まで生きた看板猫の黒猫「ジジ」は、多くのファンに愛され続け、店内には猫グッズが溢れかえっていた。移転後は猫グッズの数は縮小したが、その動物好きの精神は受け継がれている。オーナー姉妹の人柄とジジのもとへ、自然と人が集まる“サロン”のような喫茶

 

◉取材協力

茶論(サロン)
住所|熊本市中央区九品寺1-18-8 湛ビル2階
電話番号|096-372-4873
営業時間|10:00~翌2:00(土日12:00~)
定休日|元旦 カード|不可 P|なし

 

また、4/20(土)には熊本Be-9 V2にて、全編弾き語りの『猪鹿超絶ぼっちツアー』を敢行。

しっとりしたバラードからアップテンポな曲まで圧巻の歌声と演奏を披露し、最後まで観客を魅了した。

今回はその模様を写真でご紹介!

 

 

 

またライブ終了後には、サイン会を実施。ファン一人ひとりと丁寧に会話をしている姿が印象的だった。

 

 

 

<RELEASE>
◉発売中
1st single『ダンストゥダンス』
●蔵前レコーズ/¥1,500+税

 

<RELEASE>
▶︎8月7日(水)発売
2nd single 『セミ』
●蔵前レコーズ/¥1,500+税
公式HP https://www.kanoerana.com/

 

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