【街場不動産】vol.15「茶師の部屋。」

只今発売中の「シティ情報くまもと5月号」の連載企画をWEBでもご紹介!誌面に載せきれなった写真も一挙公開いたします!

 

『ウエダ不動産事ム所』というチカラ強い味方を得て始まった連載「街場不動産」。ここでは、一般常識からできている市場マーケティングを一切頼らずに、現場にある雰囲気と風味を頼りにした“街場”的判断や空想を働かせて不動産物件をめぐり楽しむコーナーです。ぜひ、これをキッカケに店をはじめたり、新しいコミュニティをつくる人が出てくることを願いつつ、物件訪問をしていくのでヨロシクです!

 


 

 

中央区京町の少し先。中心市街地から少し離れた小高い立地は、大人がのんびり暮らすのにぴったりなエリア。熊本城の横をのぼり、車で10分もかからない場所に建つマンションの13階には、茶師のご主人と奥さまが二人で住んでいる(茶師とは、茶葉の選定と、合組と呼ばれるブレンドや調合を行う職人のこと)。

 

 

ここは、内装デザイン会社『ASTER』がリノベーションを手掛けた物件。元和室の壁を撤去し、キッチン、リビング、ダイニングを一つの空間に。コンクリートのグレーや、壁面、照明の黒といった無骨なカラーをベースにし、床にはオークの無垢材を使用している。重厚感の中にあたたかみを感じさせるデザインだ。

 

 

キッチンの後ろには、マグネット塗料や黒板塗料が塗られた遊び心溢れる引き戸があり、その裏に冷蔵庫などを隠すことができる。そこには小さな窓から光が差し込み、いかにも「生活感を押し込んで隠す場所」とは少し違った、明るいスペースとなっているのも素敵。天井には阿蘇の土を混ぜ込んだ漆喰が塗られ、部屋の雰囲気を数段上げる。

 

ここでは、モダンなかっこよさと、お茶の道具が醸す日本の雰囲気が絶妙に馴染んでいるのだ。急須などの茶器一式やローテーブルとしての茶箱、さらに、パッと見何に使うのか分からないような、初心者には珍しいものもチラホラ。テーブルの上で堂々たる雰囲気で佇む茶盤もそのひとつ。「彼はどこか鈍いような質感のものが好きみたいで、この茶盤は刀の作家さんに特注で作ってもらったものなんです。茶器がシンプルで暗い色合いなぶん、植物で華やかな色を加えたりしてます」と話す奥さま。

 

 

部屋のいたるところに飾られた植物は、鮮やかな緑の葉をつけた大ぶりのものから、細く繊細な枝にぽつぽつと花が咲いているもの、パキッとした赤や白のドライフラワーなど様々。シンプルな空間が殺風景に見えないのは、絶妙なバランスでこれらが存在しているからだろう。

 

 

「ここを離れるのも、実はほんの少し名残惜しくて。もっとこの部屋を使いこなしてくれる人が現れたら嬉しいですね」。そう、実はここ、次なる住人を求めているのだ。この場所で、どれほど豊かな日常を過ごせるのかは、彼らを見ていれば想像に容易い。

 

 

朝起きて、1日の始まりには朝茶を。今は奥さまがお茶の特訓中なんだとか。お互い仕事を終え、夜は茶葉を漬け込んだお酒を嗜む。急須ひとつ持っていない人が数多くいる今、なんともめずらしく、けれどどこか羨ましい生活を営む二人。普段なかなか知ることのない生業、暮らしに触れられるのも、不動産屋らしくない不動産屋とゆく物件巡りのおもしろさかもしれない。

 

#物件情報

〈入居中〉

物件

サーパス京町台:鉄筋コンクリート造マンション13階建て

住所

熊本市西区池田1-15-73

販売価格

2270万円

間取り

2LDK

広さ

72.07m²

管理費

8800円

 修繕積立金

9600円

 駐車場

2500円

Share Me