【SAUNA JOURNAL KYUSHU特別編】湯らっくすのこれから

今や全国のサウナ愛好家から羨望の眼差しを受け、熊本の観光名所となった『サウナと天然温泉 湯らっくす』。その湯らっくすを運営する西生吉孝(I am Bruce Lee)さんに聞いた『湯らっくすのこれから』。

※取材日/2019 年7月31日

共栄観光株式会社(湯らっくす) 代表取締役

西生 吉孝 さん(I am Bruce Lee)

『湯らっくす』や『ゼネラルヨガユニヴァ』などを運営する共栄観光株式会社の代表取締役。運営する『湯らっくす』は2018年6月に大リニューアル。その圧倒的なホスピタリティやサウナにかける情熱ぶりから、全国のサウナ愛好家たちの注目を集めている。今や全国から『湯らっくす』のサウナを求めて熊本にサウナ愛好家が訪れており、サウナの『新聖地』という呼び声も高い。

西生社長の名前に冠されている『I am Bruce Lee』は今後の湯らっくすの哲学、方向性を示す重要キーワード。アジア人にして一躍映画界のヒーローとなったブルース・リーへの憧れと共に『本場ヨーロッパサウナへのアンチテーゼ』『独自路線』『外国の文化を変えていく』『地方から中央を撃つ』『怒り・悲しみ・エンターテイメント』など様々な意味が込められている

―最近では、すっかり熊本の観光名所になりつつありますね。県内外問わずSNSで『湯らっくす』とつぶやく人が激増しました。

今まで湯らっくすに関わる投稿をしてくださった方には積極的に公式アカウントから「いいね!」をさせていただいていたんですが、もう最近追いつかなくなってしまって…。押したり押さなかったりがあると良くないので一律で「いいね!」を押さなくなったのですが、嬉しく拝見しています。

―前世代のサウナブームは「男の楽園」としてのカルチャーがあったと思います。でも、『湯らっくす』はそうではない何かを感じていて。何だか他の施設と比べて「いい匂い」がするんですよ。そこが一線を画してると思います。常に女性目線の感覚を感じるというか。

実際のところ、女性客が伸びているわけではないんです。業界的なセオリーで言えば「男性専用」が無難というのがスタンダード。設備にかける費用も2つ浴場を作らなくてもいいし、客足が安定している男性側に特化するのは自然な流れ。ただ、僕が思うのはクリンネスに対する評価・厳しさが女性は全然違う。だから、女性客に来ていただけるとクリンネスに対する意識が相当鍛えられます。それがいちばんのメリットですね。その意識が男性側にとっても良い結果を与えてくれています。女性のサウナ客が少ないから諦めるというのではなく、女性に向けて頑張れば、結果的に男性側にとっても施設にとって甘えが許されないということになると思っています。

―なるほど。また、西生社長は湯らっくすを引き継ぐまで、福岡で人気のヨガスタジオ『ユニヴァ』を展開されていて、ヨガの経験値からサウナを新しく再解釈されているという印象も受けます。

10数年ヨガ業界に身をおいてきたけど、最近はヨガ方面の人たちから「あんた何してるの最近!?」と突っ込まれることが多いです(笑)。「楽しそうにやってるね」と。すっかりサウナの人になっちゃったんだけど。ヨガをやってきた経験というのは確かに今の湯らっくすに多く反映されていると思います。

―熊本地震を経て湯らっくすをリニューアルするに至るわけですが、なかなか地方で『サウナ』をメインにしたリニューアルをするのは勇気がいったのではないでしょうか。

熊本地震を経てタガが外れたんだと思います。喧嘩別れのような状態から家族経営を行っていた湯らっくすを離れていた間に、創業者の父、そして先代社長の姉が亡くなり、蓋を開けてみると借金は増えて売上は半分。まるで幽霊船のような状態になっていました。「15年前から俺を認めていれば! 任せていれば!」という気持ちも当時すごくあって、自分の腹の中にずっとあったコンプレックスと怒りが交じり合った状況でした。

そんな気持ちのなか会社を引き継いで、半年後に熊本地震が起きました。その時思ったのは「みんな一緒になっちゃったな」ということ。みんなが大きな困難を一緒に抱える状態になった時に、「おれだけが大変なんじゃないんだな」って急に生き生きしはじめちゃって。その時にタガが外れたんだと思う。

ヨガの正典に『バガヴァッド・ギーター』というものがあるんだけど、いとこ同士で戦をする運命にあったアルジュナという王子がいて、そのことに悩むアルジュナにクリシュナ神が「それがお前の王としての役割だ。その役割を全うしなさい」と言うんです。

「自分の役割」が何なのかを考えたときに、自分にしかできないことをやってやろうって思ったんです。

―当時の体験と、長年されてきたヨガの思想がリンクしたこともきっかけのひとつだったんですね。SNS上ではまた、来年にかけて大きなリニューアルを予定されていると発表されていますが、どのような進化を遂げる予定なのでしょうか?

熊本はやっぱり水質の良さがサウナにとって一番の武器なんです。そこで湯らっくすは一番になりたい。皆さんが満足してもらえる水質の地下水をイモータンジョーのように独占したい。じっちゃんの名にかけて一番になりたいんです。だから、水風呂のアップデートを考えてます。

―水風呂のアップデートですか!?

はい。今考えているのは『水風呂 八甲田山』の新設です。八甲田山、つまりは『全員全滅』です。手足の感覚がなくなって、逃走兵のように皆が逃げだすような冷たい水風呂を、露天風呂を無くしてつくります。そして、メディテーションサウナの前にある蛇口から44度くらいの熱いお湯が出るような改装を加えます。これは、八甲田山からの逃走兵がそれぞれ「足湯」を楽しみながら外気浴ができるような環境にしたいなと考えています。

キンキンの水風呂に入ったあとは、足が冷えますから足湯をしながら休憩すると気持ちいいと思いますよ~。

―『全員全滅』…すごいコンセプトの水風呂ですね。一体何度にされる予定なんですか?

何度でもいけますよ。最新のチラーを導入します。フィンランドでサウナ小屋から飛び込んだ真冬の湖がとにかく気持ちよくて、それを再現したいと思っているんです。とにかくきれいで冷たい水と、外気浴の開放感。これが必要だと考えています。そして、露天風呂の半分は『水風呂八甲田山』にして、もう半分のスペースにもうひとつ水風呂を新設します。

―水風呂をさらに作るんですか? もうすでにお湯よりも水風呂が多い状態です。サウナ好きには堪らないリニューアルですが、まさに『MAD MAX』ですね。

はい。もうひとつは、『水風呂godzilla』をつくります。「ゴジラ」じゃないですよ「ガッジーラ」です。ぶくぶくと泡立つ水の中からgodzillaが姿を現す世界観ですね。これはいわゆる炭酸泉の水風呂です。30度前後にして、初心者でもゆっくり入れるものにしたいと思っていす。これが実現すると、熊本で一番綺麗な水を使った『MAD MAX』、『八甲田山』、『godzilla』と3つの水風呂が提供できる予定です。女湯側に関しては『水風呂 八甲田山』は現状予定しておらず、また別の作戦を考えているところです。

また、アンケートでご指摘いただいているタイルやロッカーもアップデートを行います。休憩スペースに関しても場所を増やし、フラットチェアを設置予定です。

―すごい情報ですね…! その他アップデート予定の箇所はありますか?

主だった部分としては、1階のマッサージスペースを利用して予約可能な宿泊室を数部屋作りたいと思っています。これまでは予約をとれるスペースがなかったので、数部屋だけではありますがゆっくりしていただける個別のお部屋をご用意する予定です。

あと、外観も『陣中』みたいな、壁も塗り替えて要塞みたいな外観になりますよ。7人の侍みたいな感じにしていきたいと思っています。

―リニューアルの情報量がすごすぎて追いつけないです(笑)。今よりもますますすごいサウナ施設になっていくという期待感が高まりますね!

見た目はますます女子受けしない施設になっていきますね。併設しているヨガスタジオの方々にはいつも辛辣なご意見をいただいています。でも、あの人たちがいてくれるおかげでクリンネスと女性らしさを湯らっくすは保てている。湯らっくすという施設においてヨガスタジオの方々はいわば野党勢力みたいなもので、いてくれないと困る大事な存在なんです。

―今後の方向性としては、今以上にサウナに特化した施設として舵を切られるということですね。

露天風呂も無くなって、温泉は内湯だけ。サウナ3つに水風呂3つと、よりサウナに特化した施設になってくると思います。温泉を楽しみに来られたお客様はがっかりされるかもしれませんが、それは元から覚悟していること。近隣には温泉が素晴らしい施設がたくさんありますから、行きたい施設に行くのが一番いい。

温泉が素晴らしい施設、家族湯が素晴らしい施設とあるなかで、湯らっくすはとことんサウナが素晴らしい施設としてやっていければと思っています。自分たちが目指すのはあくまで『ベストなサウナの提供』。その熱量で勝負したい。結局のところ、自分たちの追求する熱量に勝るマーケティングはないと思っています。

今後もサグラダ・ファミリアのように次から次へとアップデートを繰り返したいです。自分が何をやりたいのかを常に考えている。「これが自分の役割なんじゃないか」と妄信的に思っています。今はありがたいことにそれができる環境だと思っているので。でも、結局はお客さんが笑いながら楽しんでいることを見ることが好きなんです。そういうことが根っこの部分で好きなんだろうね。

―今回の大きなリニューアル計画もそうですが、東京進出の意志をSNS上で発信されたこともサウナ愛好家の間で話題になりました。

そうですね。先に大きなバルーンを打ち上げて、ホラ吹きにならないようにと自分を鼓舞するために発信しました。東京に進出を考えています。湯らっくすがやっていることが通用するのかどうかを世に問いたいんです。15年前に湯らっくすを離れたとき、本当は東京で勝負をしたいと思っていました。その時に逃した東京への挑戦のチャンスが、まさか今になってサウナで出てくるとは思っていなかったです。

でも、今それができる環境にあるならばそれは僕の役割だと思います。東京で黒船よろしく大暴れしてやりたいです。もう、暴れに暴れたい。

今思うのは、熊本地震が起きたあとからのことは、僕にとって職業人生としてのボーナスタイムなんですよ。本当にこんなふうになるなんて思ってなかったから。だから今できる自分の役割を全うしたいだけなんです。こう言うと綺麗事みたいだけど。

―『自分の役割』を常に考えていらっしゃるんですね。将来的に『湯らっくすの役割』はどのようなものになっていくと考えますか?

今夢見ているのは、世界に「ジャパニーズ禅サウナ」が広がって行く未来です。主にアジア方面に日本から独自のサウナカルチャーが輸出されていけばと思っています。それを牽引できるような施設に湯らっくすはなりたい。

日本が観光立国になっていくうえで、日本式の「サウナと水風呂があり、ゆっくりと食事もできて、くつろげて泊まれる」という独自のサウナカルチャーはとても大きなコンテンツになると思っています。

今、うちで頑張ってくれているジワンやマプーヤといった外国人留学生たちも、その時には母国で一山当ててくれるんじゃないか? と考えていて。

その昔、イタリアの留学生がアメリカに渡って、アイビーリーグで流行していたアイビールックを本国に持ち帰ってイタリアンカジュアルになり、イタリアの文化であるスーツのクラシコスタイルにまで影響を与えるようになった。こんな文化の伝播に50年くらいかかってる。

それと同じように、日本の禅文化と水風呂も絡めて、独自のサウナカルチャーとしてアジア方面に広がっていけばいいなと思っているんです。水風呂は日本独自の文化。本場ヨーロッパのサウナはシャワーしかなかったりして、日本人からすると少し物足りないって思っちゃう。

サウナ業界にとっても、日本のサウナをアジアに輸出していくっていうのは本当にすごく大事なことだと思う。日本のサウナっていうのは、本場の人たちからしてみると、日本人から見た『カリフォルニアロール』みたいなものだと思うんですが、カリフォルニアロールだってすごく美味しい。贔屓目にみても日本のサウナ文化って、現地に負けないくらい良いものなんじゃないかと信じてるんです。

もちろん、オーセンティックなヨーロッパのサウナを日本に伝えることもとても大事なことだけど、それは僕の役割じゃないし他の施設さんが既に頑張って伝えてる。僕の役割はこの日本から生まれたサウナカルチャーをとにかく広めて行くことだと思ってる。

そう言う意味では横浜にある『おふろの国』さんがされている「熱波道」もサウナとプロレスを融合させた日本の進化型サウナだと思っていて、方向性は違いますが面白いな~! と思っています。

僕が好きなのは常に『楽しいこと』だから、お客さんが『楽しいな~!』って笑顔になってくれるエンターテイメント型のサウナに進化させていきたい。そうして、『これが日本のサウナだ!』というものが広がって、外国人留学生や海外のビジネスマンが母国に持ち帰ってくれたら理想ですね。

そうなっていくと、現在のサウナブームも流行に終わらず、しっかりとした日本のサウナ文化に育っていくと思います。日本が国をあげて観光立国になろうとしているなかで、日本のコンテンツとして「温泉」と一緒くらい「ジャパニーズ禅サウナ」が浸透していけばいいな。そんななかで、要塞みたいな湯らっくすに外国人観光客の方が来られて「What is this!?」「Amazing!」「This is Japanese sauna!」「I am Bruce Lee!」みたいな感じになったら最高ですね(笑)。

―50年後のことを夢みて、『ジャパニーズ禅サウナ』を実現するためのリニューアルを続けていかれるということですね。西生社長の経営哲学というのはどこから生まれてくるものなのでしょうか。

今は無き大阪の『ニュージャパンサウナなんば店』から温浴事業に必要なことはすべて学ばせてもらいました。僕の憧れの存在です。

施設に対する投資の姿勢もそうですが、『人』に対する投資がすごく大事なことだと教えてもらいました。施設のハード面もそうなのですが、最終的に『人が人を癒す』という姿勢がすごく大事で。そのためには人材に対する投資や教育を惜しんではいけない。

その施設のスタッフたちが頑張ってくれることによって、お客さんは『人』に対してリピーターになってくれるんです。だからこそ、ヨガやマッサージ、アウフグースなど『人対人』のサービスを意識して取り入れています。

アウフグースサービスも、今や福永君を中心にして、ジワン君やマプーヤ君、増本君など全国に名を売るアウフグースマイスターが育ってくれていることがすごく嬉しいです。それぞれのアウフグースマイスターたちが、熱量と誇りをもってお客さんと向き合ってくれている。これこそ『ニュージャパンスピリット』だと思います。

―なるほど。施設はあくまで『箱』にしか過ぎず、顧客満足度を高めるのは最終的に『人』ということなんですね。湯らっくすのアウフグースはマイスターたちの個性によって『熱さ』や『気持ちよさ』を受ける側が選べる楽しさもあります。

ありがとうございます。湯らっくすのアウフグースの『熱さ』を担っている外国人留学生コンビ、ジワンとマプーヤは来年卒業してしまいます。それに合わせてアウフグースサウナを行っているサウナ室もアップデートする予定です。

具体的にはサウナ室自体を熱くする工夫をしていきます。サウナ室に発生した熱は、基本的に室内の天井付近に溜まっていきます。

今のサウナ室は天井が高く熱をダイレクトに感じづらい構造なので、天井を低くします。そしてストーブの位置を少し高くして、一段目から三段目までアウフグースを楽しんでもらえる仕様にしたいですね。

水風呂や施設内すべてに関わることですが、サウナ室や水風呂も今後はサウナ初心者から愛好家まですべての人が楽しめるようなアップデートを進めていきたいです。ぜひ今後の湯らっくすにご期待ください。

サウナと天然温泉 湯らっくす

●住所
熊本市中央区本荘町722
●電話番号
096-362-1126
●営業時間
温泉・サウナ 10:00〜翌8:00

食事 6:00〜10:00/11:30〜翌1:00

宿泊 24時間

●料金
サウナ・温泉入浴590円

湯らっくすコース 1300円(5:00〜翌1:00)

1:00以降追加料金+1200円

https://www.yulax.info

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