種をまく人びと(2)【猪原金物店】

今回の島原半島の取材にあたり、島原半島へ実際に足を運んで感じたことは、さまざまな角度から島原の魅力を発信している人が増えてきているということ。

古き良き町並と新しい息吹が共存するこのエリアは、今まさにクリエイターたちが種をまいている時期なのかもしれない。

観光目線とは一味違う、クリエイティブな視点から島原半島で活躍する人びとの話をお届けします。

 

今回はその第二弾『猪原金物店』をご紹介します。

 

時を経て人とモノを繋ぐ、芸術の発信地。

『猪原金物店』

 

綺麗な水に慣れている熊本県民でも、思わず足を止めて見惚れてしまうほど透き通った湧水が有名な島原。

その美しい川「速魚川(はやめがわ)」を店の横に作り、さまざまな種の水草が自生するビオトープを形成したのが、『猪原金物店』5代目店主・猪原信明さんだ。幕末期に建てられた、坂本龍馬と勝海舟が島原海道を通る際に見たかもしれないという、なんともロマン溢れる建物は15年前に国の登録有形文化財に指定されている。

 

 

 

明治10年創業の『猪原金物店』は「こだわって本物。使って一生モノ」の理念のもと、職人が丹精込めた昔ながらの金物を中心に、数え切れないほどの商品を扱う。

 

また、同店は『茶房&ギャラリー速魚川』を併設。茶房では落ち着いた空間の中で湧水と自然食材を使った料理を楽しめ、ギャラリーでは画家や陶芸家、書道家などの作品展、歌手のコンサートなどが開かれている。

 

2階部分に完備された、広々としたギャラリースペース。「ゲストハウスも作りたい」と話す猪原さん。これからの『猪原金物店』がますます楽しみだ

 

「多くの人に見て、芸術に触れてほしい」という猪原さんの想いが込められた入場無料のギャラリーにて、取材時に飾られていたのは、気品に満ちた能面の数々。『猪原金物店』に客として訪れた若松義則さんという方が手がけた作品を、現在常設展示しているという。

普通であれば美術館や博物館でしか目にすることのない能面だが、間近で見て触れることができる貴重な機会を提供する。凛とした佇まいの作品たちは、まさに圧巻の一言に尽きる。

「人やモノとの出会いを大切にしています」と話す猪原さん。この偶然の出会いから、ゆくゆくは個展を開く計画も立てているそう。

 

手裏剣の取り扱いや、室町時代から受け継がれる日本人の魂が込められた守り刀(非売品)の展示など、国内外問わず多くのゲストが足を運ぶ

 

島原を拠点とした歴史ある金物店から発信される、猪原さんが生み出した「速魚川」やギャラリーという独創的な発想は、驚きと感動を多くの人々に与え続ける。

 

お茶やコーヒー、料理に最適な、湧水を利用した「速魚川」の水は持ち帰りも可能。島原では珍しい軟水の美味しい水はファンも多いのだとか

 

このほか、『シティ情報くまもと11月号』では、億単位の年月を掛けて形成された天然砥石や、「世界一切れる」と称される、日本刀と同じ切れ味を持つ、野鍛治・吉光作の作品を写真にてご紹介しています。

息を飲むほど精巧な究極の逸品が揃い、すべて自分の目で実際に見てほしいものばかり。博物館に訪れたような満足感を得られます。

猪原金物店

住所

長崎県島原市上の町912
電話番号

0957-62-3117
営業時間

9:30〜18:00
休み

水曜、祝日

カード

P

あり
https://www.inohara.jp/

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