【インタビュー】Major 9th Single『FREEDOM』/BLUE ENCOUNT

 「本好きの父が命名した名前そのものが、ある小説のタイトルから取っているんです」。そう教えてくれたのは、熊本県発・エモーショナルロックバンドとしてその名を全国に轟かせる『BLUE ENCOUNT』で、フロントマンを務める田邊駿一さん。中学生の頃から一週間に10本以上は映画を観ていたという大の映画好きの田邊さんが、高校生の頃よく訪れていたという『Denkikan』の2階にある『珈琲しもやま』にて、『シティ情報くまもと1月号』の特集にちなんだ本にまつわる話、そして11月にリリースした最新シングルについて伺った。

 

『シティ情報くまもと1月号』では文字数の都合上、残念ながら掲載できなかったインタビューの模様を『KUMAMACHI NAVI』ではすべてお届けします!

 

Profile / 熊本発・都内在住の4人組。’14年にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。ライブではダイレクトにオーディエンスに感情をぶつける熱血的なパフォーマンスが話題を呼ぶ。11月にフジテレビ “ノイタミナ” TVアニメ『BANANA FISH』第2クールオープニング ・テーマ『FREEDOM』をリリースしたばかり

 

「映画を観た後に原作本を読んで、完成されたイメージを解体する作業を楽しんでいます。」

 

田邊:僕の父がいわゆる「本の虫」で、実家には部屋一面に小説が置いてあるような環境で育ちました。本が好きすぎて、今では自分で小説を書いているくらいなんです。それくらい本が好きで、小説を書き上げたら、「どうだ」と言って原稿を僕に送ってくるんです。「どうだ」と言われても困惑してしまうのですが(笑)、面白い人なんですよ。昔から言葉を紡ぐことに関しては、父親は大事にしている人なので、いまだに歌詞にダメ出しを食らうこともあります。その都度「うるせぇ」って言うんですけれど(笑)。そんな父が付けた田邊駿一という名前は、父が当時好きだった宮本輝さんの有名な作品の一つである『優駿』から「駿」を取り、そして一番になってほしいとの想いから「駿一」と命名したそうなんです。そう考えると、自分の人生そのものが本と繋がっているように感じますね。小学生の頃父から、「お前の名前の由来になった本だぞ、読め」と本を渡されことがあるんですけど、『優駿』は当時小学生だった自分にとっては内容がとても難しく感じて…。そこからは逆のパターンをとって、今は映画を観て面白いと思ったら、次にその原作を読むという楽しみ方をしています。映画でイメージを固めた後に本を読んで、「原作はこういう作りなんだ」と、すごく新鮮な気持ちで知識を吸収できるというか。本を読んで自分の中で情景を思い浮かべて、映画を観るという楽しみ方もあるけれど、僕は映画を観てから原作を読むことで、映画で完成されたイメージを解体していくという作業を楽しんでいます。それが今の仕事に繋がっているというのはありますね。ドラマやアニメのタイアップのお話をいただく時は、台本・脚本、ストーリーボードを見て作曲するのではなく、あらかじめ制作サイドの皆さんのイメージを伝えられてから作っています。制作サイドの皆さんの出来上がっているイメージから、その物語を僕なりに解体していくという作業が多いんです。その作業は、僕自身の小説との向き合い方にすごく近いので、メジャーデビューして4年の月日が経った今も、自分の中で無理なくタイアップ曲を完成できるのは、そういう見方で小説と向き合ってきたからこそかもしれません。結局、脚本や台本を見るのって、最後の最後なんですよ。そこも面白いなと思っていて。まさに今回のシングルもアニメ『BANANA FISH』とのタイアップで、僕らは第二クールを担当させていただいたんですけれど、第一クールを一視聴者として観ていたんです。そこにタイアップの話をいただいて、もともと観ていた物語のシーンや流れを自分の中で一度解体してから楽曲を作りました。そこは、自分の今までのやり方がちゃんと仕事に生かせているように感じますね。

 

 

ーその最新曲『FREEDOM』ですが、今回はアーティスト写真とジャケット写真が、檻の中に囚われているようなイメージで、とてもインパクトがありました。「自由への渇望」といったところも表現されているんでしょうか?

田邊:そうですね。今回は、渇望する自由をも探しているというか。「自由になりたい」と願う人もいると思うんですけれど、じゃあ「自由になってどうなりたいの?」と聞かれたら、意外と答えられないことが多いと思うんです。それこそ、「自由になりたい。自由を探す」のであれば、その「自由とは何か」ってことを明確にしないといけないんじゃないかと。そんなことを思った時に、『BANANA FISH』という作品は、自由を勝ち取るための戦いを繰り広げて、その先にある人間同士の絆というものが描かれていますが、アーティストにも当てはまるのかな?と思ったんです。僕らも自由に音楽をやらせてもらっていますけど、自由に行動するためには、きっと誰かの不自由がそこには存在していて、誰かが頑張らないと、僕らが自由に行動することはできないんですよね。だからこそ、責任を持って自由を謳歌しないといけない。そして「じゃあ僕らが持っている自由って何だろう」と考えると、「自由」という言葉に単純に逃げていることもあったなと思って。この楽曲で今一度、「自由」という言葉は皆にとって当たり前だけれど、尊いものでもあるから、それを勝ち取って行こうじゃないかという、決意を込めた歌になりました。

ーバンドとしての今の想いも込められているのでしょうか。

田邊:まさにこのDenkikanに足を運んでいた高校生の頃からこのバンドで活動していて、当時から「自由に音楽をやろうぜ」という話をしていました。僕らの思う自由というのは、いわゆるジャンルに捉われない、垣根を越えて音楽に携わるという意味です。メジャーデビューしてから、ありがたいことに今回が9枚目のシングルとなりますが、その9枚はどれも顔色の違うものが出せていると思います。今回はここからさらに自由に羽ばたくための、ターニングポイントになるような一枚を作りたかったという想いがあります。

先ほどの話にも出た新しいアーティスト写真が、現在の自分たちの答えだと思うんですよね。囚われているように見えながら、すごく堂々とした顔立ちをしているのは、ある程度、檻の中で答えが見えたのかなということを表現しています。

ー強い意志が表れていて、まさに現在進行形のブルエンの姿が表現されているんですね。

田邊:今の自分たちの気持ち…野望みたいなものですかね。「これからもっともっとすごい景色を見に行くぞ」という気持ちの表れかもしれませんね。

ーそして「FREEDOM」からの勢いそのまま、2曲目の「ミュージック」に続きますね。この「ミュージック」では挑戦的、という印象も受けました。

田邊:挑戦的と思わせつつ、ブルエンでは結構やっている手法ではあるんです。さまざまな曲で曲調を変えたりといった手法が好きで、メジャー一年生の頃から、取り入れてはいたんです。そして今回、久々にブルエンらしいものができたなと思います。挑戦的と思われる理由の一つは、歌詞の中で言いたいことを言っているからなんです。だから、今の音楽シーンに対して自分たちが何が言えるか、何を言いたいのかということを、今回は書いてみました。そういう意味では、初めて自分の気持ちを思い切り書けたなと思います。

ー歌詞の中では、SNSを指している部分も見受けられますね。

田邊:昔は音楽誌のライターさんや批評家の意見を、皆が指標にしていたと思うんですけれど、今は親指だけで文字を書ける時代で、あぁだこうだと各々議論を広げるというか…。今はもう皆が一人ひとりのものさしで、音楽を捉えているように感じます。一つの楽曲がさまざまな角度で見られることは、それはそれですごく良いことですが、昔の感覚だから良かった、という音楽の良さもあるので。そこに切り込んだことを言えた、というのも大きいですね。

ー3曲目の「それでも、君は走り続ける」は、前の2曲からガラリと変わって、優しく手を引いてくれるような歌だなという印象でした。

田邊:まさにそうで、聴いてくれる人の弱い部分を包んであげたいという気持ちで、ただただ書き進めました。1曲目の「FRREEDOM」で決意できたのが「守りたい」という気持ちで、聴いてくれるファンの皆さんを守って行きたいという気持ちから生まれた曲なので、その決意の “答え”を3曲目で書けたと思います。正直なところ、答えを出すのが早かったなと(笑)。この曲はシングルカットにしたかったという想いがありました。それくらい良い曲ができたということには間違いないです。

ーそう考えると、3曲で一つのアルバムのような構成になっていますね。

田邊:僕らも9枚目にしてやっとそういうのが出来たなと思っていて。これからもそういうものを作っていければ…。なかなかシングルって買われない時代じゃないですか。アルバムを買おうと皆思ってしまうから、そんな中でもシングルを買って欲しいとアーティストは思っているので、そのためには、シングル一枚がアルバムと同じくらい聞き応えのあるものにしないといけない。そういう意味でも今回は特に、聞き応えのあるシングルができたと思います。

ーかなりの満足感が3曲で得られて、こんなにお得で良いのかな?というくらいです。

田邊:おぉ~ありがとうございます!本当に “満足度”というものが、シングルも大事だなと思いましたね。

ー通勤通学にもちょうど良い時間の長さですね。

田邊:通勤通学ってちょうど皆テンションが迷子になる時間だと思うんです。嫌な仕事や教科がある日は行きたくないと思うし、できれな何もなく平和に終わりたいなと思う。だからこそ、そんな時間に僕らがその人たちの弱さを抱きしめられればと思って作ったのがこの3曲なので。ぜひ皆さんにこれを味方につけてほしいです。

ーまた、6月には初のホールツアーが開催されますね。

田邊:初日が地元・熊本なので、自分の中でも特に気合が入ったライブになるだろうなと思っています。小学生の頃、初めてライブを観に行ったのが熊本市民会館(現・市民会館シアーズホーム夢ホール)でした。その時はまさか、ここでワンマンライブをするなんて思ってもいませんでした。そして数年前にイベントで市民会館のステージに立った際、「次はここでワンマンをやるから」と皆さんに約束して、その約束を果たせることが嬉しいです。

ー最後にツアーへの意気込みと、皆さんへのメッセージをお願いします。

田邊:地元・熊本でどんどんワンマンライブの規模を大きくできていることが、すごくありがたいなと感じつつ、熊本でのライブは自分たちにとって、血が出るくらい拳を握りしめる感覚というか、身の引き締まるものがあります。憧れだった場所での初めてのホールワンマン、しかも初日ということで、ブルエンとしても大事な日を熊本で飾れるというのは貴重な機会なので、ぜひ皆さんの力を貸してください。

(シティ情報くまもと2018年1月号本誌掲載)

 

[RELEASE]

◉発売中

Major 9th Single

『FREEDOM』

●Ki/oon Music

初回限定盤(CD+DVD) 1900円

http://blueencount.jp/

 

『BLUE ENCOUNT HALL TOUR 2019 』

2018年6月9日(日)

開場17:30 / 開演18:00

会場 熊本市民会館シアーズホーム夢ホール

料金

前売 5300円(税込)

※小学生以上チケット必要

※未就学児入場不可

問 キョードー西日本

092-714-0159

 

◉取材協力

珈琲しもやま

所|熊本市中央区新市街8-2 2階

☎︎090-3016-0828

営|11:00~18:00(喫茶)

休|火曜・不定 P|なし カード|不可

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