【インタビュー】Major 6th Album『!!!!YEAH!!!!』/グッドモーニングアメリカ

 昨年まで熊本のテレビ番組でレギュラー企画を担当していたことから、公私ともに熊本に所縁の深いアーティスト・金廣真悟さん。所属している人気バンド「グッドモーニングアメリカ」が11月にリリースしたアルバムでは、全曲の作詞作曲を手がける一方、ソロとして弾き語りライブを全国各地で行うなど、多忙な日々を送っている。そんな中でも読書を自然に楽しんでいるという金廣さん。今回、熊本県を中心とした作家作品を展示販売している『珈琲&ぎゃらりー ギャレット』へご案内。珈琲とアートを堪能しながら、『シティ情報くまもと1月号』の特集にちなんだ本にまつわる話、そして現メンバー4人となって10周年を迎えた今、最新アルバムに込めた想いを尋ねてみた。

 

また、『シティ情報くまもと1月号』の誌面では文字数の都合により、残念ながらお届けできなかったインタビューの模様を『KUMAMACHI NAVI』ではすべてお見せします!

 

Profile / ’13年1st full Album『未来へのスパイラル』でメジャーデビュー。現メンバー4人になって10周年、メジャーデビュー5周年となる’18年、“10くらいの恩返し”と題してさまざまな企画を実施。その中の一つとして、6th Album『!!!!YEAH!!!!』を11月に発売した。「開いていく、届けていく」をモットーに活動するライブバンド

 

「悲劇を喜劇に変えることが、グドモのするべきことなのかなと思います。」

 

ーさっそくですが、金廣さん自身が影響を受けた本を教えてください。

金廣:パウロ・コエーリョの『星の巡礼』という作品です。僕はキリスト教徒ではないのですが、パウロ・コエーリョの『アルケミスト 夢を旅した少年』という有名な作品と出会ってから「この人の作品をもっと読んでみたい」と思い、次に買ったのが『星の巡礼』でした。当時はグッドモーニングアメリカとして、活動しだして間もない頃で、楽しい反面悩みも抱えていて。そんな時に思考の仕方を教わったというか「こういう考え方もあるんだな」と新鮮に感じました。僕なりの見解で大まかな流れで言うと、主人公がキリスト教の巡礼路を回るっていく中で霊的な体験をするんです。マスターと呼ばれる人がいて、その人に従って巡礼路を歩いて行き、土から種を育ませて、さらに緑を育むまでを、体、魂で表現する儀式が度々ある中で、主人公が普段のさまざまな悩みから解き放たれて成長していく。すべての物事には前兆があって、それは「 “大いなるもの”からの啓示だから、それに従うのは良いことだよ」と『星の巡礼』や『アルケミスト 夢を旅した少年』に書いてあるんです。そこには、例えばジャムを塗ったパンを地面に落とした時に、必ずと言って良いほどジャムを塗った面が下にくるように、ある程度決まったルールがあると僕は思うんですよ。それまでは、悩み事は全部自分ひとりで決めて進めていたんですけれど、うまく道が拓けなかった。そんな時にその二冊と出会ったんです。自分では意識的に選択をしていない状況下で、こういう現象が起こるのはどういうことなんだろう?と考えて、そこから自分が取る行動をチョイスするというか。普段無意識に行っていた選択を、一度立ち止まって考えて動くということを心がけるようになったことが、自分にとって転機になったように思います。現メンバーになって今年で10周年を迎えましたが、その頃は新メンバーが入るかもしれないという時期でもありました。そんな時にこの本に出会ったことで考え方が変わり、その考えをもとに選んだこともたくさんありましたね。そしてそれがいまの道を選んだ理由にもなっているように思います。そういう意味ではすごく影響を受けた本です。

 

ーそれは金廣さんの音楽観にも影響を与えましたか?

金廣:歌詞には多々影響を受けたと思います。特に今回のニューアルバムは、本を読んだ当時の考え方に近いスタンスで書いています。2曲目の「夢のマルティール」や6曲目の「ベツレヘムの星」は、直結しているわけではないんですけれど、本の中で惹かれた言葉や、ちょっとした憧れというものが反映されたように感じます。

 

ーでは、先のお話にも出てきた、最新アルバムの話に移りたいと思います。アルバムのタイトルにもなっている『!!!!YEAH!!!!』のミュージックビデオ(MV)を拝見しましたが、90年代を彷彿とさせるようなカラオケ映像風の演出が、とても懐かしく感じました。逆に20代以下の方々は、新鮮に楽しむことができそうですね。

金廣:そういう風に思ってもらえたら嬉しいです。以前乗車した新幹線が、たまたますごく古い車両で、電話ボックスが中に付いているタイプのものだったんです。思わず電話ボックスを写真に撮って(笑)。それがとても懐かしく感じて、そのちょっとした懐かしさというものが、自分たちが作ったニューアルバムにも入っているような気がして。それをキッカケに、「MVもそういう懐かしさを盛り込もう。カラオケ映像風にしたらより面白いだろうな」といった流れで、今回のような形になりました。

ー歌詞の中で「辛い暗い日常」や「なぜか悲しいんだ」といったように、明るい曲調ながら切ない歌詞も出てきたり。それはアルバム全体でも見受けられるように感じました。

金廣:今年7月にベストアルバムをリリースしたんですけれど、収録曲はお客さんに選んでもらう形式を取りました。収録曲が決まった時に、僕自身のこれまでのグドモ像とは少し違うなと感じたんです。そこで皆にとってのグドモ像を、この10年目にしてもう一度作ってみようという想いから、アルバム作りがスタートしました。リード曲の「!!!!YEAH!!!!」や色々な曲を作って、歌う内容は基本的には変わらないんですけれど、自分のスタンスとして「痛みとか迷いは絶対に歌いたい」という想いがあって、「楽しいぜ!」という感情だけを歌にする必要はないなと感じて。悲しいことを喜劇にすることが、グドモのするべきことなのかなと改めて感じています。アルバム「!!!!YEAH!!!!」を出す前は、「悲劇は悲劇のままでいい」と思っていた時期があったので、そういう風に楽曲を作ったこともあります。僕のソロ活動ではそのスタンスもありだと思うんですけれど、グドモとしては、やっぱり悲劇を喜劇に終わらせる方向で音楽活動をしなきゃという想いがあったので、悲しさや切なさが曲の所々に散りばめられています。でもそれだけではなく、希望に少しでも手を伸ばしたくなるような、明日を迎えたくなるような歌詞をできるだけ書くようにしています。でも手が届いてもまたすぐに次があるようなものを、聴いてくれる方々に提示していきたいと思っています。

ー原点に立ち返るという意味合いも含まれているのでしょうか。

金廣:そうです!でも同じところというよりは、グドモとして10年走り続けてきたので、螺旋階段の一段上に登ったような感覚で…。本当に一周回ったと実感するし、階段を着実に登ってきたのかなと思います。

ーグッドモーニングアメリカの、現在進行形の姿を見られるというか…

金廣:そこは間違いないです。ベストアルバムを経てリリースされたアルバムなので。これが僕らメンバーを含めた、皆の中の「グッドモーニングアメリカ」として成り立つ作品なんじゃないかと。核心とまでは言い切れないですけれど、そう信じて作った作品です。

 

ーまた、アルバムの初回盤には、金廣さんの弾き語り集が収録されていますね。

金廣:普段はグドモでは比較的元気な曲が多いのですが、ソロ活動ではまた違う雰囲気でやらせてもらっています。バンドとはできるだけ違うテイストであろうと考えています。グドモとしてできることとはまた別に見えてくるものがあるので、どうにか消化したいと思って。その部分は可能な限り、ソロ活動で消化していきたいと思っています。

ーソロで活動されると、バンド活動をする上でも良い刺激になる部分はありますか?

金廣:両方とも良い影響を与え合っているように感じます。だから両方ずっと続けていきたいですね。10周年を迎えて、より強く思いました。

ー今回リリースされたタイトルが『Shingo Kanehiro WORKS Ⅰ』ということですが、『WORKS II』をリリースされる予定もあるのでしょうか?

金廣:今のところ具体的には考えていないのですが、曲のストックはあるのでシリーズ化した方が良いなと思い、『Shingo Kanehiro WORKS Ⅰ』と名付けました。

ーありがとうございます。それでは、最後に熊本の皆さんにメッセージをお願いいたします。

金廣:2019年はHAPPY JACKへの出演が決まっていて、そこを皮切りにライブにも遊びにも熊本を訪れたいと思っています。皆さんもライブに足を運んでいただいたり、もし街で見かけた際は、気軽に声をかけていただけたら嬉しいです。

(シティ情報くまもと2018年1月号本誌掲載)

 

[RELEASE]

◉発売中

Major 6th Album

『!!!!YEAH!!!!』

●日本コロムビア/TRIAD

初回限定盤 3333円(税抜)

 

 

◉取材協力

珈琲&ぎゃらりー ギャレット

所|熊本市中央区中央街4-29 パスート駕町2階

☎︎096-326-6030

営|11:00~18:00

休|日・月曜 P|なし  カード|不可

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